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2人の終焉 [不思議な話し]

いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。


若い頃の話をしたいと思います。

あれは高校の友達と卒業旅行をした時の出来事です。

友達の1人が学校にペンションの雑誌を持って来ていて、仲の良い友達5人で勢いで旅行に行く事に話が直ぐに決まりました。

女子受けする見映えのいい可愛らしい感じの外観です。歩いて行ける距離に露天風呂もありました。

1人の友達が気に入り、そのペンションに泊まりに行くことになりました。

勿論、車の免許も無いので電車で行ける距離です。場所はすっぽりと記憶が抜けていて覚えていません。


某ペンションに着き受付を済ませると、一旦外に出て小さな離れに通されました。自然の中に点々と離れの家がある感じです。なんか思ったより古く山小屋みたいな作りで、入った瞬間床が斜めで違和感を感じました。

入り口から直ぐ居間で、小さなソファーに木の椅子があり、その周りにベットが置いてある間取りでした。

女子5人が集まるとワイワイガヤガヤと話が盛り上がりそれなりに楽しく過ごしました。

夕飯は受付を済ませた本館でした。オーナーの奥さんに突然、うるさいから静かにして欲しいと言われました。

私達は一応「すみません。」と謝った記憶があります。こんな客受け入れなきゃ良かったみたいな奥さんの顔が印象的でした。

本館から出ると高校生ぐらいの1人の男の子が「うちの母親がきつくてごめんね」と話しかけて来ました。

話を聞いているとオーナーの1人息子でした。

1人の友達が一緒に話そうよ~と誘い、部屋でみんなでワイワイと小1時間ぐらい楽しく過ごしていました。

露天風呂の時間が夜の11時までなので一旦お開きにして、道順を教えてもらった露天風呂に行く事にしました。

露天風呂に着くとおじさんにペンションの名前を言うと無料でした。誰もいないから貸切だからゆっくりと入っていいよ~と言われ岩風呂を満喫しました。

部屋に帰って来るとペンションの息子が「あの露天風呂良かったでしょう!女風呂の方が広いんだよ」と話しかけられ、また一緒に部屋で話すことになりました。

(息子は親に見つからない様にキョロキョロしていました。)

初めて会った人なので他愛もない話しです。ここら辺は雪になると積もってヤバイとか、自分には彼女がいるとか、おじいちゃんの代からペンション経営をしているなど、若いお客さんが来るのは珍しい~とかそんな話をして夜中の2時頃まで息子は喋って帰っていった記憶があります。

私は、さっきから誰かが歩いているスリッパのシュッ、シュッってする足音が耳から離れなく、友達の1人と一緒に寝てもらう事にしました。

耳からスリッパの足音がまだ聴こえるので私は中々寝付けなくなっていました。

薄暗い中、天井の梁を何気に眺めていると

突然、体が硬直して金縛りにあいました。

物凄い寒気がして、肩から首、顎がガタガタと震えだしました。

自分の歯がガチガチと鳴っています。

天井の梁を見ると浴衣らしき紐が垂れ下がりゆらりゆらりと揺れています。

顔が小刻みに左右に振れ歯がガタガタとしているので目をそらす事ができません。

私は、首を吊った男女らしき真下にいました。

何かが滴り落ちる気がして気がおかしくなりそうです。

紐がゆらりゆらりと揺れるのをただ見ているだけです。

2人の終焉を真下から眺める私。

どうする事もできません。

そのうちに朝日が差し込んできて、私は気を失う様に寝てしまいました。


今、思い出しても鳥肌が立ちます。

人は本当に怖いとガタガタと震えるのだと実感しました。

人生の中の怖かった出来事の上位に入る話しです。

勿論、卒業旅行に水を差す事になるので、友達には一切言いませんでした。

「私は、無力なのでどうする事もできません。」と何かに言いたい年頃の話しです。


話すのに忍びないですね。聞いてくれてありがとうございます。












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