運命の糸(中編) [不思議な話し]
いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。
私生活でいろいろとあり、ご無沙汰しておりました。
フルタイムで働く事になり忙しくてクタクタになって泥の様に眠る日々を過ごしていました。
改めて仕事は我慢料なんだと考えさせられました。
最近世の中で思うのは、隠れていた事が露見して膿が潰れるみたいに露見して考えを改め直す流れ。
私も見つめ直す事が多々ありました。
ああいう人に私はならなくて良かった、自分を見失わない様にしないと、心に誓いつつ。
要らない事は捨てて仕切り直してスッキリする、そういう時期だったのでしょうか?
運命の糸、中編になります。
Aさんと距離を置きながらお互い様子を伺い、歩きながら会話をしました。
ショッピングモールの駐車場から私の車で移動しました。
私の地元で縄張りなので、私の車で移動した方が手っ取り早いからです。
Aさんは真面目な穏やかな感じで眼鏡をかけていました。色白の塩顔です。
これといって印象的な感じはしませんでした。
お昼時だったので和風レストランに行き、個室でお互い緊張しながら色んな話をしました。
いつしか、穏やかな雰囲気で会話が弾んでいました。
Aさんの食べていた舞茸の天ぷらそば定食が美味しそうで・・・・無言の圧力でしょうか?
ちゃっかり舞茸をおすそ分けしてもらいました。
だいぶ、気心が知れ(私は食べ物に弱い)ほんわかとした場になっていました。
その後私の提案で、近くの公園を散歩することになりました。
私は、公園を案内しながら先に歩いていました。後ろにAさんが続く感じです。
「んっ!」目の前に、目をキョロキョロさせている男の不審者がいました。
「あっ!この人!」この前も公園でウロチョロしてた人だ!覚えてる!
その時もヤバい人だと思いました。何故ならトイレに行くと後を付けて来るから。
この公園で獲物を物色しているんだと思いました。
この公園は城の跡地で古く、堀があり色んな鳥が休める所が整備されています。桜の木が沢山あり周辺の住宅街から孤立している場所です。夜には絶対に行きたくない場所です。
私は、うわの空で考えていると、そんな時に下半身が冷えてトイレに行きたくなりました。
しょうがないので、あえて、人が沢山いるトイレに行きました。
Aさんがトイレの出口で待っててくれましたが、不審者はトイレの近くまで距離を縮めて、こちらを怪しげな眼差しで見ています。
危険だと悟った私は、「もう帰りましょう」と提案しました。
初めて会ったAさんに不審者がいるなんて言いたくなかったのです。
(どういう展開?と思われたくなかった。)
だってこれは、私だけの野生の感覚だからです。
普通の人の視点ではない感覚や感受性は、どこか逸脱している自覚があるので私をいつも臆病にしてしまいます。
明らかに人とは違うからです。自分自身、嫌になるほど自覚がありました。
いつも何かを感じ取ってしまうのです。(知らなくてもいいことまで)
Aさんには「お友達になってください。」と言い、その場はお開きになりました。
Aさんは「は、は、はい」と言った反応でした。
その後メールなどのやり取りは日々ありましたが、当時のご時世もあり、一緒に出かける事はありませんでした。
「友達」という枠から出ることはありませんでした。
何か月か経ったある日、久しぶりに桜の花見と神社巡りをAさんと行く約束をして出かけました。
目的の神社に行く途中に竹藪の駐車場があってその近くに綺麗な見事な桜が咲いていたので、花見と軽食と休憩を兼ねて駐車しました。
その後、神社もお参りも無事に終わって、帰ろうとゴミをまとめようとすると、来る途中に軽食した時のゴミ袋がありません。
きっと先ほどの桜の見事な竹藪の駐車場で落としたに違いありません。
ゴミを捨てるなんて、なんてことを・・・モヤモヤとした嫌な気持になりました。
そこに戻れば帰りが遠回りになるし、場所も曖昧だしと考えを巡らせていました。
私はとりあえず、その旨をAさんにサラッと説明しました。
なんと。
Aさんはゴミ袋を落とした駐車場に戻ってくれて、「しかかまるんさんが凄く気にしてらしたので」と言ってくれました。
私はこの時改めて、Aさんの瞳の奥をまじまじと眺めました。
正直、友達なので顔をマジマジと眺めたりはしませんでしたので、そこには真面目で素朴な眼差しが私に向けられていました。
今更なのですが、じっくりと改めてAさんという人物に興味が出て、顔と心を真正面から見た感じです。
私は、基本的に顔と名前が直ぐに覚えられなく、最初の感覚だけでこういうタイプかな?と判断して付き合い方を決めるタイプです。
なので相手への興味のスイッチが中々入りません。
相手からしたら捉えどころのない、何を考えているのか?分らないタイプかも知れません。
様子を見て相手に合わせる様にしています。
別れ際、Aさんとはまた近々何処かに行く約束をしました。
ほんわかとした曖昧なお互いにブレーキをかけた感情が入り乱れています。
でも確実に
その日はAさんの素朴な眼差しが印象的でした。
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