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親指と人差し指で [近所話]

いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。(勝手に元気をもらっています。)


記憶は曖昧だがあれは、12年前の話しです。

団地の1階に住んでいた時の出来事です。

その日は、何かざわざわとした気配がして(野生の勘が警告を鳴らす)

何かが心に突っかかり、何かを見落としてないか?見逃さない様にしないといけない気が無性にしました。


昼間に会社の同僚が良い板(押し入れの床に子供が穴を開けたので塞ぐ板)

を届けてくれて、彼女は忙しく、玄関先で用を足すと直ぐに帰ってしまいました。

家の家事を一通りこなし、子供を寝かしつけ、寝室で横になり、いつの間にかウトウトとしていました。

何故か夜中に何かが起こる気がして不意に目が覚めました。


私は、そっと耳を澄ましてカーテンを目の幅だけ開けベランダを見ました。

外は目の前が線路沿いでアパートも近くにあるので夜でもぼんやりと明るく照らし出されていました。


ふと、外からガサガサと足音が忍び足のテンポで聞こえてきました。

誰かが来る。

私は、息を殺して、気配を消しました。

窓の外をカーテンの隙間から覗くと、ベランダによじ登り、誰かが、手を伸ばし洗濯物を親指と人差し指でスリスリと生地の質感を確かめていました。

下着ドロボーです。

下着ドロボーは子供の靴下のかかとを一生懸命パンツだと思ったのでしょう、スリスリとしていました。

私は、カーテンのすき間を静かに閉め、忍び足でドロボーの近くの台所の部屋まで行き、

フライパンを持ち窓をいきなり開けました。



何をしている?(低い声で)


ドロボーは直ぐにピョンと後ろに飛び降りると一目散に夜の闇に逃げて行ってしまいました。


私は、勿論、怖い思いはありましたが、それとは別に違うことを考えていました。


下着ドロボーは昼間来た会社の同僚の旦那だと思ったのです。

実は同僚の旦那も一緒に昼間来て挨拶をしていたのです。

今思うと、その時に物色していたのだと思います。


私は、心に秘めて誰にも言いませんでした。

同僚はその後、私に自分の旦那が下着ドロボーで捕まった事がある旨を話してくれました。


何とも後味の悪い昔の話しです。


皆さんも心に秘めたことはありませんか?










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