いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。
何十年も前の昔の話になります。
車の免許を取って直ぐに色んな所に友達とドライブに行っていた時の話しです。
ドライブが楽しくて色々思い付いた場所に友達と近場なら直ぐに行っていました。
(高速道路はハードルが高い)
近場なのに一つだけ行って無い所がありました。
地元の山です。早速、話の流れで友達と一緒に行く事になりました。
○○山は高くなく地元の幼稚園や小学校がよく遠足に行く場所です。
時刻は午前中でした。初心者でも車で簡単に行ける道です。急なカーブもなく山なんだけれどチョット高い丘みたいな感じです。
民家が所々に在り友達の運転する車で山道を登っていると私達と年の近い1人の女の子とすれ違いました。
女の子は怪我をして足を引きずっています。車を停車させ窓を開けて話しかけようとしました。
彼女はおもむろに顔を手で隠してびっこを引きながら足早に通り過ぎてしまいました。
友達と私は目を合わせて「助けて欲しくなさそうだよね、直ぐに民家があるし大丈夫かな?」
「話しかけるなオーラが出てたからいいんじゃないかな?」
心配して車のミラー越しに見るとびっこを引きながら逃げるように小走りに走って行ってしまいました。
友達「誰かいるかも知れないからゆっくりと進もう」(女の子がいたのでブレーキを踏んで止まっていました。)
頂上の駐車場の入り口がもう、見えていました。
次の瞬間
いきなり山の方から冷たい何かが風の波の様に押し寄せて来て車を通り抜けて侵入して来ました。
何かが車をガタンと小突きながら横から通り過ぎて行きました。
私と友達は息が出来なくなるぐらいの異様な圧迫感に一時、包まれていました。
友達と私は「何?今のなんなん?何かが通り過ぎていったよね?」
「息が出来なかったんだけど・・・」
友達「とりあえず、駐車場で車をUターンしょう」
駐車場に着くと早速、車を降りて友達は車の周りを見まわしました。「さっきガタンっていったからぶつけたのかと思った。」
「親に怒られるからさ~・・・・・」
私を振り返りながら友達は
「ちょっ、チョット~しかかまるん、どこ行くん?」
私は「なんかこっちに何かがある・・・」どんどんと歩いて勝手に1人で山道を行ってしまっています。
私は何かに導かれるままに、左に曲がり次は右と道を知ってるかの様に歩いていました。
すると、小さな広場の突き当りにたどり着いていました。
私は我に返り「なにこれ・・・」
気が付くと石と名前の分からない若木の前に来ていました。
よく見ると警察の黄色の立ち入り禁止テープ(keep out)が木と石を伝う様にグルグルと巻かれています。
私は狐につままれる様に呆然と立ちすくんでいました。
友達の声が後ろから聞こえます。「しかかまるん、どんどん先に行って~待ってよ~」
友達「何これ?事件でも有ったの?ポリステープが巻いてあるけどこんな狭い範囲で事件て何?」
私はさっきから鳥肌が立っていたので直ぐに立ち去りたくなりました。
友達も「さっきもそうだけど、この山ヤバイ感じがしてならない、帰ろう」
私達は直ぐに山道の運転を気を付けながら下山しました。二人共、思う事があったのでしょう・・・無言でした。
私達は「怖かった」お互いの意見を言った後に、とりあえずお腹が空いたので安上がりな弁当屋でランチを買って車の中で食べる事にしました。
友達が「ここでいい?」と私の顔を見ながら帰り道の道沿いの弁当屋さんに入りました。
直ぐに用が足りるので私が買い出しに車から降りて、唐揚げ弁当二つ注文してから何気に掲示板を見ていました。
そこには「この赤ちゃん知りませんか?」と顔が似顔絵で下は水色のベビー服でよだれ掛けをした写真が掲載されていました。半年前の日付で○○山の山頂付近で・・・六ヶ月、男の子・・・
私は全身に鳥肌が立ち、食い入るように似顔絵を見ていました。
あんな小さな範囲のポリステープの意味が分かりました。
突然に「唐揚げ弁当二つお待ちどうさまです。」
私は我に返り、ビクッとしながら直ぐにお勘定を済ませて立ち去りました。
私の頬に涙が知らぬ間に伝っていました・・・
その後に友達と地元の子育て○○のお寺にお参りに行ってあの赤ちゃんのご冥福をお祈りしました。
何ともやるせなく・・・心がキリキリと痛くなりました。
説明するのが難しく何とも理解できない事なのですが、偶然だとは思いませんでした。
ただ、私達に自分の存在を知って欲しかったのだと思いました。
ただ、彼は小さい子供でなすすべもありません。
私達だけでも分かっているよ・・・忘れないから・・・
ただ、彼が優しい光に包まれて・・・ただ、優しい世界に導かれますように・・・・